TOBの傾向分析

作成日:2026-03-01 最終更新日:2026-10-09

記事のまとめ

 TOBの傾向として
・親会社による子会社の完全子会社化
・同業による買収
・M&Aによる事業拡大
・MBO
 以上4パターンにほぼ全て分類できます。

TOBの傾向

 TOBの傾向として
・親会社による子会社の完全子会社化
・同業による買収
・M&Aによる事業拡大
・MBO

 以上4パターンにほぼ全て分類できます。
 以下、例として2026年1月・2月のTOBの一覧です。
 この内、自己株TOBはTOBというものの、実際は自社と売却を希望する大株主との相対取引で、名目上公開買付の形をとっているだけなので灰色に着色しています。
 同じく、成立後に上場廃止ではなく子会社化、持分法適用会社化する場合も相対取引に近いものなので。灰色に着色しています。
 残る白色の行は、ほぼ上記4パータンに収まることをご確認いただけるかと思います。


発表日 銘柄名 買付人 種類 発表前
株価
買付
価格
プレ
ミア
時価
(億)
備考 成立後
2026/02/25養命酒製造ツムラ同業の買収4,5104,050-10.2%上場廃止
2026/02/25伊藤忠食品伊藤忠商事子会社の完全子会社化12,08013,0007.6%上場廃止
2026/02/25サンフロンティア不動産伊藤忠商事資本業務提携2,5702,8008.9%1,212持分化
2026/02/19エイジス創業家MBO3,0404,45046.4%上場廃止
2026/02/13アレンザホールディングスコーナン商事同業の買収1,2121,46520.9%上場廃止
2026/02/13タカラバイオ宝ホールディングス子会社の完全子会社化8011,15043.6%上場廃止
2026/02/13INFORICH同社MBO2,1054,560116.6%上場廃止
2026/02/13ワットマン同社MBO75197229.4%上場廃止
2026/02/12若築建設麻生グループM&Aによる事業拡大5,3004,455-15.9%447子会社化
2026/02/12カヤバ自己株TOB4,8404,139-14.5%1,883トヨタの売却意向に対応
2026/02/06カイノスデンカM&Aによる事業拡大1,3042,28575.2%臨床検査薬事業の強化上場廃止
2026/02/05水道機工メタウォーター同業の買収3,5704,05013.4%上場廃止
2026/02/05MCJ創業家MBO1,5382,20043.0%上場廃止
2026/02/04ビーアールホールディングス横河ブリッジホールディングス同業の買収35753048.5%上場廃止
2026/02/04MUTOHホールディングスブラザー工業同業の買収2,9807,626155.9%プリンター事業の強化上場廃止
2026/02/03三光産業同社MBO43372667.7%上場廃止
2026/02/02日本電子自己株TOB6,2985,148-18.3%4,144ニコンの売却意向に対応
2026/01/30日本パレットプール日本パレットレンタル同業の買収1,7302,51045.1%上場廃止
2026/01/26フクダ電子自己株TOB8,8906,721-24.4%4,269大株主の売却意向に対応
2026/01/23豆蔵スウェーデンの投資ファンドEQT投資(転売目的)4,0203,551-11.7%上場廃止
2026/01/22ソフト99コーポレーションプロキシーファイト3,9854,1002.9%902MBOに村上ファンド系が対抗TOB。上場廃止
2026/01/09シマダヤ自己株TOB1,7651,579-10.5%231大株主の売却意向に対応
2026/01/08サンデーイオン子会社の完全子会社化1,0151,28026.1%上場廃止
2026/01/06久光製薬創業家MBO4,5006,08235.2%上場廃止

TOBの目的は会社の支配

 TOBは会社の支配を目的として相手方の株式を買付する一つの方法です。支配のレベルは以下の通り議決権(株式保有割合)により4つに別れます。
 尚、完全子会社化は100%の株を取得する必要があるのでハードルが高いのですが、スクイーズアウトと呼ばれる株の強制買取制度があり議決権の3分の2以上を保有した時点で残りの株を株主から強制的に買取ることができるので、3分の2以上(約67%)を取得できるかが鍵となります。

 経営側とすると資金が潤沢にあれば完全子会社にしたいと考えることでしょう。実際にNTT<9432>は主要な子会社をすべて完全子会社化しています。一方で極端な例ですがGMOインターネットグループ<9449>は子会社ばかりで完全子会社化しません。逆に事業を分離し子会社を増やし続けています。これはどちらが正しいという話ではなく方針の違いです。


TOBになると一般株主は儲かる(一部例外あり)

 一般的にはTOBになると一般株主は儲かります。これは現状の株価にプレミアをつけて買付価格が設定されるからです。ただし、一部のTOBではプレミアがマイナスになるディスカウントTOBとなることもあるので注意が必要です。
 例として、三菱重工による三菱ロジスネクストへのTOB。15%のディスカウントTOBとなりました。これは三菱重工側が関係会社含めてTOB実施時点で64.5%保有しており、賛成を得ることのできる4.4%を保有するGSユアサと合わせ67%を超えており、TOBしなくても完全子会社化の議案が成立する株数を確保できていたためです。
 株価は需要と供給で成立します。この需要が弱いとディスカウントTOBとなる典型例です。
 最近では養命酒がディスカウントTOBとなりました。(成立するか記事を書いている時点では不明)業績予想を下方修正したことや現時点ではTOB成立を絶対ではなくあわよくば程度に考えているためだと思います。状況によっては買付価格の見直しがあるかもしれません。


TOBの傾向分析

・親会社による子会社の完全子会社化
・同業による買収
・M&Aによる事業拡大
・MBO

の4パターンについてTOBの傾向を考えたいと思います。

・親会社による子会社の完全子会社化
 長らく親子上場は少数株主の権利が守られないとして問題視されてきましたが、東証の要請もあり、親会社による子会社の完全子会社化が2024年頃より急速に進みました。NTT<9432>は2025年にNTTデータの完全子会社化をもって親子上場をすべて解消しました。2026年も親子上場の解消は進むとは思われますが、NTTしかりやる気のある親会社はすでに完了しているところも多く、ここから大きく件数が増えるというものではないと思われます。
 1・2月合計で3件。年間で20件前後かと。

・同業による買収
 建設業、小売業中心にかなり活発かと思われます。ただし大きな会社が小さな同業を吸収するような買収ではなく、自社の足りない部分を保管する理にかなった買収ばかりです。例えば関東に弱いコーナン商事<3546>は関東中心に約300店舗展開するのアレンザHDを買収することで全国展開となりホームセンター業界1位となる非常に有意義な買収です。ブラザー工業<7999>は業務用大判プリンター製造のMUTOHホールディングの買収によりプリンター事業のラインナップ強化となります。
 このように買収側に多大なメリットのある同業がターゲットとなると思います。言い換えれば業績が悪い、規模が小さい、技術がないといった銘柄は同業であっても買収のターゲットにならないということだと思います。

・M&Aによる事業拡大
 伊藤忠商事<8001>が非常に活発な印象です。近年「利は川下にあり」を成長戦略としてファミリーマート、ビッグモーターなど次々と買収していますが、2026年に入ってもブックオフと資本業務提携(TOBでなく小学館などの大株主から株式直接譲受)、サンフロンティア不動産と資本業務提携(TOB)など活発な動きです。今後も成長が期待できる銘柄に買収をかけていくと思われます。
 結局のところ同業による買収と同じですが、買う価値のある銘柄に買収が入りますので、成長期待の持てる銘柄を買っておくことが最善と云えるのではないでしょうか。

・MBO
 上記・同業による買収・M&Aによる事業拡大と違いMBOは近年成長が鈍る業界、銘柄に対して買収が行われます。短期的利益を求める株主からの制約を排除して長期的な成長戦略を図るためです。今年はじめに久光製薬<4530>のTOBが発表され成立しましたが、これもOTC類似薬の保険適用除外など今後の厳しい経営環境を見据えてのものでした。調剤薬局、OTC類似薬関連のメーカー、介護施設は今後MBOが進むと思われます。そして今年は、アンソロピックのAIが法務業務の自動化を目的とする新たなツールを発表したことをきっかけにIT関連銘柄の株価が下落していますが、これらIT関連やみずほの事務職5000人削減を発端としてアウトソージング関連がMBOの対象となりそうです。


今後のTOB期待銘柄は?

別ページで予想しています。




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